大学の一年生はどこの大学でも同じように基本的な教養科目が中心となりますが、二年生からは臨床心理学に関わる実習科目の中で体験的な学習がドンドンと増えてきます。その実習内容と就活などにおける実習体験の効果について書きます。

「臨床心理学基礎実習」

 これは一クラス20名ほどで、三人の教員が三つのクラスで同時並行的に3時間、みっちりと実習する必修科目です。この科目は前期科目なので、4月から7月末まで15回にわたって合計で45時間のトレーニングとなります。
 臨床心理学でよく行われる実習の一つは、三人で一つのグループを作り、「一人がカウンセラー役、もう一人が相談者役、もう一人が二人のやり取りを観察・記録する役」というものがあります。5-10分程度で役を交替して、学生は三つの役を体験するというものです。
 最近はアクティブ・ラーニングという言葉がはやっていますが、そうした言葉があまり知られていない頃からこうした実習を行ってきています。こういった実習によって、心理学部が重視している「心理コミュニケーション力」と「心理的援助スキル」が養われていきます。

「応用実習A(グループワーク)」

 この科目は二年生の後期科目で、約50~60人からの履修希望者を二つのグループに分けて、二人の教員が同時並行的に3時間みっちり実習する選択科目です。1)プリントにしたがって実習内容の理論的説明を受ける、2)大教室の机と椅子を移動させて教室の真ん中にスペースを作り、4-5名程度の小グループとなり様々なグループ・ワークを体験する、3)机と椅子を元に戻してから、体験した内容をプリントの理論的内容と結びつけてレポートを作成する、というのが基本的な進め方です。

 ここで2)3)に「机と椅子を移動させる」という作業が入っていることに気がつかれましたでしょうか。こうした作業はしばしば「好まれない、単なる労務」と見なされがちですが、実はこうした実際の作業を通じて「グループワーク」実習の中で体験した事柄がどの程度、実践されているかを確認することができます。
 実習体験が進んでくると、学生の多くが「机と椅子を移動させる」作業を仲間と一緒にスムーズに進めていくことが「楽しい」という感想をレポートに書いてくれます。「心理コミュニケーション力」「心理的援助スキル」は座学で習っても身につくことは難しいですが、こうした実習を通じて、まだ(大半は)若い20歳前後の学生たちは成長してくれているようで嬉しく思うことが多いです。

「応用実習B(芸術療法・ダンスセラピー)

この科目は二年生の後期科目で、最大で30-40名程度の履修希望者を二つのグループに分けて、二人の教員が同時並行的に3時間みっちり実習する選択科目です。「芸術療法」では、絵を描いたり、箱庭療法(砂の入った木の台の中に人形などのフィギャーを置くアート的アプローチ)を体験したり、光るドロ団子を作ったり…といったアート的な活動を通じて、そうした専門的な心理学を体験的に学びます。「ダンスセラピー」では、ダンスセラピー・リーダーという資格(日本ダンス・セラピー協会認定資格)が取得できる内容になっていて、動きやダンスに基づいて心理的なアプローチを実践する方法について体験的に学びます。子ども達を対象にした「遊戯療法法 プレー・セラピー」では、そうしたアート的だったりダンス的だったりする内容を通じて、子どもの心理的な安定や成長を促していくのですが、今日の経済至上主義的な状況では見落とされがちな「人間的世界」への親しみとそうしたアプローチの重要性を身につけていきます。

心理学部・臨床心理学科にはこの他にも体験的な実習科目が複数あり、体験を通じて学生が学んで成長していくことができるように実習科目が構成されています。こうした教育内容は、新たな心理学部においても踏襲されます。
特に、「心理コミュニケーション力」「心理的援助スキル」を、教育の柱として重視して指導・実習を強化していく体制を整えています。